• matt sounds
  • OVERHEAT MUSIC

Rakaa Iriscience (Dilated Peoples)


Interview by CB Ishii (石井洋介) Photo by EC

LAの良識派ヒップホップ・グループDilated PeoplesのMC、Rakaa Iriscienceが日本にいるのをinstagramで発見、久しぶりに東京で会うことになった。14年には『Directors Of Photography』を8年ぶりにリリースしているリリシストRakaaのインタヴュー。

●今回の来日の目的は何ですか?

Rakaa Iriscience(以下、R):Red Bull BC One World Finals Nagoya(ブレイクダンス・バトルのワールド・ファイナルが名古屋で開催された)のHost MCを務めるために来たよ。今は東京に帰ってきて友人と2日間ハングアウトしてるよ。

●そこではRakaaのショウもやったんですか?

R:いや、そこでは司会(MC)だけだよ。World Championshipsは毎年世界の都市を転々としながら行われていて、僕はヨハネスブルグ、モスクワ、パリ、あとはスケジュールの都合で行けなかったりもしたけどアメリカ国内の予選でもホノルルやテキサス、シカゴなどではホストMCを務めたよ。僕のMCに対するB-BOYからの評判が良いから、僕自身もMCを楽しめているし僕のショウがなくてもMCで会場を盛り上げたり一体化させる事はしてきたよ。

●素晴らしいですね。最初はどこからそのオファーが来たのですか?

R:ドイツで働くRed Bullのイベントをコーディネートしている知人からオファーが来たよ。RazelやMasta AceなどもホストMCをやっていたんだけどRed Bullとしてはいつもと違った方法で異なるフレイバーを出したかったんだと思うよ。RazelもMasta AceもホストMCとしての実力は申し分ないけど、これは想像だけど僕がRock Steady Crew (American B-BOYing crew and hip hop group)の出身だからB-BOY達と直接やり取りが出来るし彼らB-BOYのパフォーマーと同じレベルでMCが出来るからじゃないかな。 南アフリカのヨハネスブルグが初めてだったんだけどそこから定期的に声がかかってるよ。普通ならDilated Peoplesとしてのスケジュールもあるからここまではやらないかもね。

●2017年はアムステルダムにも行くんでしたっけ?

R:Red Bull BC Oneはアムステルダムで開催されるんだけど既にRed Bullからブッキングのオファーが来ていて、たぶん行けると思うから今から楽しみだよ。

●年に1回なんですか?

R:世界中でエリアごとに予選があって年に1回「World Finals」が開催されてるよ。それぞれの勝ち残りが「World Finals」に出られるんだと思う。一昨日の名古屋でのバトルはとてもドラマティックだったよ。ファイナルは韓国のHong 10と日本のIsseiの二人のバトルだった。ベテランのHong 10はここまで2度のチャンピオンを達成していてBC One史上初の3度目に手をかけていた。一方のIsseiは日本期待の19歳のホープでジャッジ4人目までがHong 10とIsseiの2対2だった。そして5人目がIsseiをコールしたときIsseiは床に倒れこんで喜び、会場は大きな地鳴りがするほど盛り上がったよ。本当に素晴らしいバトルで美しいエネルギーが生まれた瞬間だった。もう一度見たいよ。

●話しは変わるけどここ(Riddimオフィス)から歩いて3分のところにRed Bull Studios Tokyoがあって、そこを借りてこのCD『Dubforce』のレコーディングをしました。すごく良いスタジオなんだ。

R:このDubforceのロゴは誰がデザインしているの?見た事あるね。

●USUGROWだよ。Travis BarkerやTim Armstrong達のバンドTransplantsの3枚目『In a Warzone』のアルバム・ジャケットのアートもUSUGROWがやってるよ。

R:そうか!USUGROWのアートワークは素晴らしいね! 実はTransplantsの2枚目のアルバム『Haunted Cities』では僕も1曲参加してるんだよ。(注:「Crash and Burn」)

●Rakaaはグラフィティーもやっていたんですよね?今もグラフィティーをやってますか?

R:いや、たまにドローイングはしたりするけどもう最後にグラフィティーと呼べるのをやったのは3年くらい前かな。僕の奥さんがアーティストなのでペインティングを手伝ったりする時もあるし、アーティストの仲間も多いからアートショウのキュレーターをしている奴らのグループとも近いんだ。

●グレイシー柔術にはなぜ興味を持ったんですか?

R:父がモハメド・アリとシュガー・レイ・レナードの試合をよく見ていたから小さい時からボクシング、テコンドー、拳法、マーシャルアーツなどに興味を持ったんだよね。ある時人を投げ飛ばしたりして遊ぶのが好きな友達がいきなり柔術を始めたって言い出したんだ。初めてUFCという大会が開催されたすぐ後にその彼が柔術のフリークラスに誘ってくれたのがきっかけだね。柔術の好きなところは基本的には全力を尽くすけど制御しながらやる攻防の技法なんだ。ボクシングやマーシャルアーツ等は本当に蹴ったり殴ったりが中心で、柔術だってもちろん相手を痛めつけるんだけど、痛めてもちょっとアクシデントって感じなんだ。僕はもう歳だからヴァイオレンスな事は好きではないし、柔術の方が僕の性格にも合ってるかな。

●そこにはあなたの音楽と共通する事はあるのでしょうか?

R:もちろんだね。相手との距離感、離れすぎてもダメだし近すぎてもダメだ。距離感、呼吸、ペースをコントロールするから要するに作曲家と同じなんだ。ステージに立つ時にそれらはとても重要なことだ。何が起きてもおかしくない状況の中で、それらに対して完璧に反応しやり通さなくてはいけない。でもこれは人生にも共通するね。柔術は間合いがとても近い状態から始まる。近すぎると捉えられてしまうかもしれない、遠すぎれば触れられないかもしれない。規律を守りながらその中間にいる為に自分がどこの間合いにいるべきかを柔軟に考えていかなくてはならない。そここそ僕がとても重要視している柔術の哲学だね。

●Rakaaのお父さんは牧師さんですよね?

R:そう、だから僕は牧師の息子だよ。僕の母は韓国から戦時中に養子としてやってきて、母を最初に養子として受け入れた人達も牧師。つまり教会の人だった。だから僕は父方の親も母方の親も牧師家系だったわけだ。その2つの家族が一時期同じ教会に所属していたことがあって僕の父と母は知り合ったんだよね。

●神は信じますか?

R:僕は宗教というものに関して全く興味はないけど、僕自身の中で解釈している神や本質はあるよ。バイブルを信じている人の多くは実はバイブルをきちんと読んではいない。牧師が指定したページを開いてそこだけを聞く。だからバイブル全ての背景には触れていない。だから僕にはそういう人達の考え方にはついていけないけど、理解をする様には努めているよ。でももちろん神を信じていて、僕が信じているよりもさらに崇高な力が存在することを信じているよ。

●教会では歌ったりしていましたか?

R:聖歌隊にも入っていたし、証言もしたし、たまには演劇もしたね。イースターやクリスマス等の行事があればなんでもやったよ。牧師の息子だったからドラムがいなくて急遽ドラムをやった時だってあったよ。ただビートを叩いていただけなんだけどね(笑)。

▼▼次のページへ▼▼


ページ: 1 2